大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)2208号 判決

被告人 西宮徳

〔抄 録〕

検察官の控訴趣意について。

よつて按ずるに被告人は昭和三十二年六月十七日松戸簡易裁判所において窃盗罪により懲役二年未決勾留日数十五日算入に処せられ当時右裁判は確定し同年七月二日から右刑の執行が開始されたことは被告人の司法警察員並びに検察官に対する供述調書、原審公判調書、東京拘置所からの回答書等の記載により明らかであるところ、被告人はさらに本件窃盗被告事件について昭和三十二年七月八日勾留状の執行を受け現在に至つていることは本件記録編綴の勾留状、勾留更新決定等により明らかである。そしてかくの如く一つの事件について言い渡された懲役刑の執行を受けている者に対し他の事件について勾留状を発しこれを執行する場合においてもこれがためその懲役刑の執行を停止すべき法定の理由は生じないから、かかる場合には一面懲役刑の執行があると同時に他面未決勾留が存するものと解すべきであるが、しかし右の懲役刑の執行と未決勾留とは観念上併存するにとどまり事実上はただ懲役刑の執行としての単一の拘禁のみが存在するのであるから原判決におけるが如く本件につき未決勾留日数を本刑に算入することは単一の未決勾留を二重に確定した懲役刑の執行に替えるものであり明らかに刑法第二十一条の趣旨に反した措置というべく、その不合理なことは言をまたないから原審のこの点についての措置は刑法第二十一条の解釈を誤つたものといわざるを得ず、その誤が判決に影響を与えることは明らかであるから論旨は理由があり原判決は破棄を免れない。

(加納 山岸 鈴木)

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